日本人は味噌汁や漬物が好きなため、なかなか減塩をすることが難しいのが現状です。
その原因の一つに「味」の問題があります。とかく減塩食は「味が薄くて、美味しくない」といったメージが強く、実際に食べてもそう感じてしまいます。
このため、食塩摂取量を減らすことにあまり関心を持たない人の多くは、「塩味が好きだから」とか「美味しく料理を食べたい」といった「味」に関することを理由に挙げる傾向が見られます。
また、味覚は塩味・甘味・酸味・苦味・うま味に分類されますが、加齢、ストレス、服薬などが原因で味覚が鈍くなることがあります。特に、感覚が鈍くなるのが塩味で、次いで甘味と言われています。
また、味の濃さや薄さの感じ方は慣れによるものが大きく、日頃の食生活で舌が濃い味に慣れてしまうと味覚も鈍くなって、薄味の食事は味気なく感じてしまいます。
そのため、食欲が減退したり、食べても満足感しなくなったりして、その結果、薄味の料理を食べなくなって、結局は減塩を止めてしまうことになります。
その一方で、薄味の料理も食べ続けていると、舌が慣れてきて、素材本来の旨みを感じられるようになります。そうすると、「味覚センサー」が回復し、味に敏感になって、外食や加工食品の味付けが濃い、塩辛いと感じ食べられなくなってきます。
一般的に、塩味を美味しいと感じる塩分濃度は汁物で0.8~1.2%、煮物で0.8~2%、主食と一緒に口に入れることを前提とした場合は1.5~2%といわれております。
「濃い」「薄い」の感じ方には個人差はありますが、ダシを活用して塩分濃度の範囲内で調理や献立の工夫をすれば、減塩は味気のない食事ではなく、十分に美味しく食べることができるのです。
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